引き際の美学～人が引退を決意するとき

スポーツ選手を見ていると、この引き際のタイミングについて考えさせられるものがあります。

自分の能力の限界がきたら、どのタイミングでそれを決断していくのか。

その見極めはきっと人それぞれなのでしょうが、そこへ到るまではきっと苦悩があるのだろうと想像できます。

過去に活躍していた選手であれば、体力と能力の限界を認めたその時に引退を決意するのでしょう。

体力と能力、気力の限界が訪れた時

あの大横綱の千代の富士は、

「体力の限界…。 気力もなくなり引退することになりました」の名言を残しました。

体力の衰えには薄々気がついていたとしても、なんとかまだイケる、何とかやれるんじゃないかと足掻いて、更に努力を重ねて・・・。

そんな努力や頑張ろうという気力がなくなったとき、そんなときに人は引退を決めるのでしょう。

体力と能力、気力の限界を感じた時。

これが引き際のタイミングなのかもしれません。

神様の応援がなくなった時

あの伝説の長嶋選手の言葉が印象的です。

なぜ、引退を決めたのか？

この問いに
「神様が応援してくれなくなったから」

そう答えてらっしゃいました。

数々のミラクルを起こしてこられた長嶋さんです。

今の大谷選手もそうですが、ある時代のスーパースターは、その時代の希望や灯りとしてのお役目があり、そのために自分の力を越えたサポートがあるものです。

打っても投げても神風が吹く。

そんな強烈なバックアップを

きっとご本人も感じているのではないでしょうか。

もちろん、ご本人の努力もあります。

でも勝負事の世界や厳しいビジネスの世界で生きている人は、努力だけでは超えて行けない世界があることを痛いほど実感しています。

だからこそスポーツや勝負の世界で生きている人は密かに信仰を持ったり、占いを活用したりするのです。

長嶋さんはある時、この神風が自分にはもう吹いてこないことを実感された。

だから引退を決められたのでしょう。

神様に選ばれた人たち

時代の象徴となる人を神様は選んで神風を吹かせます。

これもその人の魂が引き受けてきた お役目なのでしょうね。

その時代、その時に必要な人に、これでもかというぐらいの能力を授けてサポートする。

でも、そのお役目にも期間があるのです。

そのお役目が終わるタイミングを肌で感じ取ったなら、引き際を考える。

寂しいかもしれませんが、もうすでに十分すぎる活躍も賞賛も受け取ったことでしょう。

そして、今後は周りの人の愛やサポートを受け取りながら次の人生へと歩き出すのです。

決断の後には清々しさが待っています。

スポーツ選手の記者会見を見ていても、それがわかります。

朝が来て夕暮れが訪れるように、人生にも昇るときと引き際が訪れるもの。

自分の分を知ることで、人生には気楽さや楽しみを取り戻すこともできます。

まとめ～無理なく人生を楽しむ余裕を生む

始めることも大事ですけれど、去り行くときも、また大事です。

常に限界にチャレンジして自分を越えていく人生も素晴らしい。

でも、無理のない余裕のある生活の中で、自分に合ったペースで生きる選択をすることも

時期がくれば、必要なことなのでしょう。

目標だけを追い求めて、他の全てを犠牲にするような生き方をしてきた人ほど、今一度、引き際について考えてみましょう。

自分の限界を超えるために、常に緊張と努力の日々であったことでしょう。

そして、きっと多くのことを取りこぼしてきたのかもしれません。

自分の身の丈を知れば、人生を楽しむ余裕も気楽さも回復してきます。

それはそれで幸せなことだと思いませんか？

余裕のある状況のなかでこそ、自分らしさや自分なりの幸せを見出すこともできるのです。

自分の能力の限界を見極め、タイミングを知ることも悲しいけれど必要なこと。

自分なりの引き際のタイミング、きっと自分にはわかるのでしょうね。